2006年7月28日第29号(通巻第45号) 毎週金曜日発行 ブログ 中文簡体 中文繁体
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ファッション・イベント

若冲と江戸絵画展

上野の東京国立博物館・平成館で、カリフォルニアのプライスコレクション(The Etsuko and Joe Price Collection)による江戸期の日本画の展覧会が開かれている。若冲にスポットを当てて、通常の日本画展とは異なる雰囲気を作っていた。2003年の12月から翌2004年1月にかけ、パリの資生堂で展示された(株)TeamLaboの「若冲幻想」というプラズマディスプレイの展示で、若冲は一気に若い世代の注目を集めたのだ。

今日のIT文化の先端をいくデジタルアートの世界で人気再燃の伊藤若冲(1716〜1800年)は変わり者だったようだ。京都の青物問屋の跡取り息子として生まれたが、商売には興味が無く、酒も飲まず女嫌いで生涯独身だった。当事の日本画の正統といわれる狩野派円山応挙に師事して多くの花鳥画を残したが、その画風は写実とは程遠い。デフォルメ、省略によって、現在いうところのデザインという表現がピタリとくる。

色は極彩色でディテールにこだわり、例えば鳥の羽の微妙な色の混合は徹底的に目を疑うような細かな筆致で描いたかと思うと、廻りの木の葉は筆の跡や滲み、濃淡の全く無いマットな一色で塗られていたりする。その部分は妙な質感を生み、墨の色が個性を主張している。

また、屏風を4万3千個のます目に分割したます目描の鳥獣花木図屏風は特にエキセントリックで、細かなます目を極彩色の絵の具で埋めることにより全体としてモザイクのような絵画を構築している。江戸時代の日本画でこのような手法が試みられていたことに驚く。鶏や動物の目は独特で、現代のアニメのような不思議な表情がある。動物の配置や姿態、構図は奇想天外に展開され、若冲の自由なイマジネーションに魅了される。時空を超えた想像の世界に迷い込んでしまったような気分になった。(西岡珠実執筆)
「若冲と江戸絵画展」公式サイト http://www.jakuchu.jp/
 
観光スポット・グルメ

本物そっくりスイーツ

「本物そっくりスイーツ」とは、たこ焼き、ハンバーガー、寿司などのメニューを、すべてケーキや饅頭などのお菓子の材料で作った新しいタイプのデザートである。このように食事メニューそっくりに作ったお菓子は「和菓子文化」を持つ日本ならではのもので、世界でも珍しい。去年本メルマガでは、ハンバーガーそっくりのケーキを販売する渋谷の「マミドバーガー」を紹介したが、今度は広島の老舗菓子司「虎屋本舗」が「本物そっくりスイーツ」を売り出して注目を集めている。

世にも不思議なこのスイーツの数々は、虎屋の洋菓子ブランド「マイケル」から生まれた。例えば、外観はお好み焼きに見えるのに、実はチョコレートケーキであったり、餃子かと思うとあんこ入りの饅頭であったり、目玉焼きかと思ったらヨーグルトムースであったりなど、傑作ぞろいである。見た目の印象と実際に食べたときの味はまったく違うので、視覚と味覚の差によって意外な効果が引き出される。

虎屋本舗はこれまでに、10種類近くの「本物そっくりスイーツ」を開発し、その販売額は毎年の総販売額5億円の半分近くを占めるほどの人気となっている。

このスイーツについては、新聞、雑誌、テレビ、ネットなどでしきりに取り上げられているだけでなく、様々な珍しい食品の博覧会にもしばしば登場している。今年の3月から6月までは池袋サンシャインビルのナムコ・ナンジャタウンに出展したが、現在は大阪の「浪花餃子スタジアム」に登場している。「本物そっくりスイーツ」ブームはこれから日本中に広がっていきそうな勢いである。(嶋田千里提供)
写真:時事通信社

「虎屋本舗」公式サイト http://www.tora-ya.co.jp/index.htm

 
先端技術・出版・雑学

市民新聞まもなく創刊

「ボクも私も新聞記者!誰でも自由自在にニュースを発信できる!」6年前に韓国で創設された市民新聞「オーマイニュース(OhMyNews)」が大成功を収め、現在その英語版は世界65ヶ国に市民記者を持っている。8月28日、その「オーマイニュース」の日本語版がいよいよ登場する。

日本にも今までたくさんの「市民記者」によるメディアが現れている。その中で有名なものを挙げてみると…… JAN−JANLIVEDOOR PJ NEWSWikinewsTSUKASA NET新聞、そして@NEWZなどがある。だが、「市民記者」メディアの日本における影響力はまだかなり低い。個人メディアとしてはブログがかなり普及し、匿名派たちの楽園である「2ちゃんねる」の勢いはとどまるところを知らない。果たして日本のネット社会で、市民記者はその作用と権威を発揮することができるのだろうか?

ソフトバンク社はオーマイニュースのために7億円を出資し、有名な新聞記者でテレビ司会者でもある鳥越俊太郎氏が編集長に就任した。日本の既存メディアはこの韓国からの風に対して、依然として様子見の態度をとっているが、ネットワーク分野で様々な苦労を重ねた百戦錬磨のソフトバンク社長孫正義氏は、心の内に成算があるのかもしれない。

市民記者は現在募集中である。興味のあるみなさんは、参加してみてはいかがだろうか?

OhmyNews「開店準備中」ブログ http://www.ohmynews.co.jp/blog/

 
イベント掲示板
7月28日(金) 安彦良和原画展 八王子市夢美術館
「勇者ライディーン」から「機動戦士ガンダム」THE ORGINへ
7月29日(土) フォーエバー・フレンズ PARCO.ART
ユーモアたっぷりの動物と子供たち!!
7月30日(日)M-1グランプリツアースペシャル'06 川崎
決勝で激闘を見せたM-1ファイナリストたちによるツアー!
7月31日(月)「ゲド戦記」キャンペーン 三ツ矢サイダー
質問に答え応募しよう
8月1日(火)第20回ハンズ大賞 TOKYU HANDS
手で考えよう、手で見つけよう、手で創ろう
8月2日(水) 「魔術と幻視」展 ヴァニラ画廊
魔術とは何なのだろうか?
8月3日(木) ドワンゴカップ2006 横浜日産スタジアム
W杯日本代表が今度はガチンコ勝負!
日本のナンバーワ

世界一の長いバーカウンター
7月20日から24日まで、新しく発売した「スミノフ アイスドライ」の販売キャンペーンとして、六本木ヒルズアリーナに世界一の長さを誇る150mのバーカウンターを設置され、試飲イベントを開催した。これまでの最長はアメリカオハイオ州にある123.7mだった。

世界一の長いベンチ
栃木県鹿沼市が市制55周年を記念するため、2003年11月22日に、550メートルという世界最長のベンチを作るイベントを開催、市民約1200人が参加した。参加者は地場産の杉で長さ1.5メートルのベンチ計367個を製作。桜の木が続く土手に並べ一つにつなげた。

【お知らせ】国際交流を担う独立行政法人国際交流基金(Japan Foundation)内に4月1日発足の「日中交流センター」の公式サイトが7月1日から公開されました。「日中交流センター」は、長い歴史の中で育まれた日本と中国の絆を深めてゆくために、交流の機会や場を作ることを目的とした機関です。

→実直かつ誠実で、もったいぶった態度をとらない。それが「東京流行通訊」の最もすばらしいところです。ますますの発展を祈っています。【花城出版社 珍珍

→「東京流行通訊」が、人気のある化粧品や芸能界の話題だけでなく、日常生活の中の新鮮で興味深い社会現象も取り上げているのが気に入っています。そうした日本こそ、生き生きとしていて、本物だと思います。【台湾 MingLiu

→夏は本当に暑くてやりきれません!でも、真夏の夜に冷たいお茶を飲みながら「東京流行通訊」を読むのは、幸せなひとときです。今みんな「Web2.0」のことを騒いでいますが、私にとって形式は二の次で、重要なのは、以前と変わらず人の心を打つことができるかどうかなのです。【シンガポール 厳克賢

→数日前に初めてこのサイトを見つけましたが、とてもすばらしいです!編集者の皆さん、ますますがんばってください!【中国 文高

編集部から】イベント欄を一週間のスケジュールとしてさらに充実しました。お出かけプランのご参考にしていただければ幸いです。
沖縄西表島
茨城県大洗町
熱海市
白い犬
配信サイト
ALAYA
芸能・ドラマ・音楽

24時間テレビ

日本テレビ系の「24時間テレビ 愛は地球を救う」は毎年夏の恒例番組として親しまれているが、今年もその制作発表が行われた。放送は8月26日(土)06:30から27日(日)20:54、今年のテーマは「絆 〜今、私たちにできること〜」。出演者は、メインパーソナリティに人気アイドルグループKAT-TUN、マラソンランナーはお笑いコンビのアンガールズ、チャリティパーソナリティーに世代や性別を問わない人気の篠原涼子、番組パーソナリティに久本雅美とくりぃむしちゅー。

24時間テレビは1978年にスタートした。アメリカのチャリティショーからヒントを得て出発し、視聴者から寄せられた募金を国内外の福祉活動に役立てる事を目的としている。メイン会場は日本武道館(1991年は東京都庁)で、その他、銀座の日産銀座ギャラリーや、日本テレビ系列局独自の主催募金会場では、チャリティーオークションなどイベントが行われている。

番組出演者、スタッフは必ずオリジナルTシャツを着用する。ベースカラーは黄色。毎年テーマが決められており、去年は「生きる」で、今年は「絆」。人が生きていくために不可欠で、人生の中で紡いでいくもの。そのような絆を再確認するきっかけを作ろう、というのがコンセプトのようだ。

世相を反映するテレビというメディアも、インターネットの普及で影響力が翳っているが、ひとりでPCに向かうネット交流に対し、家族で一緒に見るテレビの効用も見直すことができるかも知れない。(西岡珠実執筆)

「24時間テレビ」公式サイト http://www.ntv.co.jp/24h/

 
世相・若者の生き方

美しい景観を取り戻そう

最近、東京の日本橋の上を横切る首都高速道路の高架橋を撤去しようという話が持ち上がっている。この高架橋は40年あまり前の東京オリンピックを目前にして採られた苦肉の策で、その結果、東京で最も日本的な情緒に溢れた歴史的景観が破壊されてしまったのであった。

去年の12月、「悪い景観100景」というサイトで、70ヶ所の「悪い景観」が写真つきで紹介された。主要駅の付近に林立する看板や広告、美しい海の景色を遮って建てられた海辺の壁のような高層マンション、歩道の上になびくたくさんの広告のぼり、ぎっしり並んだ自動販売機……早稲田大学特命教授の伊藤滋氏を中心として、12名の建築、土木、照明、造園などの分野の専門家からなる、自称「12人の怒れる男女」が、2004年12月の「景観法」実施を機に「美しい景観を創る会」を結成した。このサイトは、彼らの心からの声を伝えたものである。

電線を地下に埋めるだけで、都市の醜い景観の半分は減少する。屋外広告をできるだけ少なくして、並木道の植樹を増やせば、70%の都市景観は改善する。会員たちは、無報酬でこのボランティア活動に参加し、各部門との意思の疎通を通じて、様々な効果的な改善案を提出し、日本の美しい景観を取り戻すためにたゆまぬ努力を重ねている。

銀座の中心地域の建築物の高さ制限(56メートル)、京都の嵐山のNTT DOCOMOの鉄塔撤去など、環境問題は日本社会でますます重視されてきている。「美しい景観を創る会」の努力は注目に値する。(本文は、雑誌「ダカーポ」の関連する文章をリライトした)
写真:美しい景観を創る会
美しい景観を創る会 http://www.utsukushii-keikan.net
 
編集後記

15年前の原宿は、日本の若者たちと日本にやって来る若者たちの楽園だった。

週末に原宿に足を踏み入れると、耳をつんざくような音楽と歌声があたりに満ち溢れ、様々の衣装を身に付けた数え切れないほどのグループが集まって、自由自在に歌ったり踊ったりしていた。演奏者も歌う者も、通りすがりの者も、わざわざやって来た者も、みんなが一つになって、週末の原宿という独特の空間の中で陶酔し、青春の無限のエネルギーを発散していた。多くの中国人留学生は、心から感慨深くこうもらした。「ここに来ると、本当の自由とは何かがよくわかる!」

15年後の原宿は、音楽と歓声はすでに消え去ったが、自由の精神は去ることがなかった。

様々なタイプの若者たちが、それぞれ特定の曜日に集まってくるという習慣がいつの間にかできあがった。月曜と水曜は前衛アーティストたち、火曜はニューウェーブの美容師たち、木曜日は肌をあらわにした少女たち、金曜日は落ち着いた大人たち。彼らは神宮前の交差点付近から四つの通りに向かって広がり、歩く者あり、立ち止まる者ありで、原宿の日常風景を作り出している。

前衛アーティストたちは古めかしい服装が好きで、渋谷のセンター街にいるような少女たちを馬鹿にしており、ブランドで自分の心や体を束縛することがない。美容師たちは多くが同業者としか接触がないため、ここに来て人々の服装や化粧や態度を観察し、自己の感性を磨いている。少女たちは、ここから渋谷の109までゆっくり歩く。彼女たちの多くは日焼けサロンで肌を焼き、薄手の服装で人々の目を誘う。一方大人の女性たちは、多くが表参道の高級ブティックに出入りし、優雅な気品に溢れ、髪を高く持ち上げ、目のあたりだけに薄い化粧を施しているだけだが、華やかで美しい。

15年間、世の中は瞬く間に変化したが、原宿は変わらない。

竹下通りを歩く中年女性たちは、過ぎ去った青春を懐かしんで夢中で記念写真を撮っている。群馬県から、あるいは台湾からはるばるやって来た少女たちもここに集まり、気に入った服を探している。狭い原宿は、昔と変わらない原宿だ。だが、ここは心楽しい場所である。なぜなら、毎週同じ曜日に、友人たちが遠方からやってくるのだから。