2006年7月14日第27号(通巻第43号) 毎週金曜日発行 ブログ 中文簡体 中文繁体
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ファッション・イベント

南仏の風を感じて ― Boncompain氏来日記念絵画展

うっとうしい梅雨空と夏を思わせる暑さが交差する日本の街に、爽やかな南フランスの風が吹いた。銀座のソニービルのすぐ近く、ギャラリー桜の木で今、フランスの画家ピエール・ボンコンパン氏の個展が開かれている。

油絵、パステル、デッサン、リトグラフの各種絵画に加え、セラミックに彩色した壷など約50点の作品が展示即売されている。フランス各地、オランダ、中国上海で個展を開き、世界的画家としての評価はすでに高い。

伸びやかでニュアンスのある曲線によるリズム感と構図の微妙なバランス感は、繊細な感性を尊重する画家の資質を映していると思う。初日のギャラリートークでのボンコンパン氏の印象は、優しい人柄の中に、芸術家としての穏やかさとキラキラした好奇心が感じられて、絵の雰囲気そのままだった。心地よく上品。南仏の透明な陽光の中で爽やかな風に吹かれている、そんな気分にさせられる展覧会だった。何度も日本を訪れている親日家。今回は展覧会のかたわら軽井沢旅行を楽しみにしているとのこと。世界各地を訪問するたびに、また新たな境地を開いていくことだろう。

ねこの絵が印象的。「生命の木」と名づけられたテーブルクロスの装飾的な絵はとても独創的で、東洋的な香りがする。1977年のインド訪問の影響だろうか。

7月22日まで。銀座のギャラリー桜の木で。 (西岡珠実執筆)

ギャラリー桜の木公式サイト http://www.sakuranoki.co.jp/
 
観光スポット・グルメ

日本の夏 ― 季節を味わう

このごろ和菓子のショーウィンドーに、金魚をあしらった涼しげなゼリー状の和菓子を良く見かけるようになった。季節の和菓子として流行っているようだ。金魚はペットショップで一年中売られていて、冬になるとカエルのように冬眠するわけでもないのに、なぜ選ばれるのか考えてみたが、どうやら太陽暦7月、旧暦6月の季語だからという理由らしい。夏のしつらえに調えた和室で、縁側の風鈴の音を聞きながら団扇を片手にいただくと、風情があってさらに美味しく感じそうだ。

古くからの格式のある日本の家では、夏を迎える前の6月から7月上旬の時期にに「建具替え」をおこなう。襖や障子をはずして葦戸に。畳の上には籐筵を敷き、簾を吊るして、床の間の掛け軸を夏の意匠のものにする。着物も絽や紗でなければならない。日本の美意識は固有のもので、一種の儀式と結びついているようで伝統を感じる。

一方、日常生活の季節感はイマジネーションである。金魚と聞くと、今はいなくなった金魚売りや、祭りの縁日の金魚すくいを思い出し、懐かしくほのぼのとした気分になる。日本家屋も有形文化財として細々と保存されている現代社会では、夏、と聞いて風鈴や金魚や簾を連想し懐かしむ人間も、世代とともにやがて消える運命かも知れない。

夏の情緒を楽しみながら、目で賞美し舌で味わう日本の美意識を再認識してみてはいかがだろうか。 (西岡珠実執筆)

 
先端技術・出版・雑学

芥川賞と直木賞

昨日(7月13日)、日本の文学界最高の賞である芥川賞と直木賞の第135回受賞者が決定し、芥川賞は伊藤たかみ氏の「八月の路上に捨てる」、直木賞は三浦しをん氏の「まほろ駅前多田便利軒」と森絵都氏の「風に舞いあがるビニールシート」に決定した。

日本ではこの二つの文学賞が、もはや文学の領域を超えて、社会における一つの象徴的存在となっているが、そのことは生前の芥川龍之介や直木三十五にとっては思いもよらないことに違いない。

ところで、この受賞者はどのようにして選ばれるのだろうか?

芥川賞と直木賞は年に二回選考され、上半期は前年の12月からその年の5月の間に、下半期は6月から11月の間に発表された作品が対象である。芥川賞の対象は新聞、文芸雑誌、同人誌などに掲載された純文学短編小説(主に無名・新進作家)で、直木賞は単行本や新聞、雑誌に発表された短編・長編の大衆文学作品(主に無名・新進・中堅作家)が対象となる。まず作家、評論家、編集者などに大量のアンケートを行って候補作品を推薦してもらう。次に、日本文学振興会が5人一組(芥川賞4組、直木賞5組)、計45人の選考組織を編成し、10日ごとに3〜4点の作品を選出する。その後、各グループが推薦した5冊の本を集めて全体会議を行う。このような「選考会議」が計14回行われ、最終的に5〜6冊の候補作品にしぼられる。

最も緊張する瞬間は、上半期については7月中旬、下半期については1月中旬に、選考委員会のメンバーが築地の料亭「新喜楽」で行う最終選考である。決定するとただちに、家で知らせを待っている受賞者と落選者に直接電話で通知される。作家たちの家の外で待っている記者たちもそれによって喜んだり悲しんだりということになる。その後、日比谷の東京会館で記者会見と授賞式が行われる。

ひとたび芥川賞か直木賞を受賞すれば、原稿の依頼が殺到するようになる。一人の作家にとっては、生涯収入が少なくとも2、3億円は増加するのである。(本文は雑誌「ダカーポ」に掲載された文章をリライトした)

芥川賞、直木賞受賞作品 http://www.ashiya-city-library.jp/fair01.html

 
イベント掲示板
7月14日(金) BLACK EYED PEASコンサート 日本武道館
ブラック・アイド・ピーズ待望の来日公演
7月15日(土) 東京おもちゃショー東京ビッグサイト
一般公開日7/14・15
7月16日(日)NANO-MUGEN FES.2006横浜アリーナ
ASIANKUNG−FU GENERATION主催
7月17日(月)「フィガロの離婚」紀伊国屋サザンシアター
『フィガロの結婚』の後日談
7月18日(火) 江戸趣味納涼大会うえの夏祭り 上野公園
東京都台東区上野公園不忍池周辺
7月19日(水) ピクサー展森アーツセンターギャラリー
キャラクタピクサー・アニメーション・スタジオの博覧会
7月20日(木) インターナショナル・ファッション・フェア
アジア最大のファッション見本市
日本のナンバーワ

日本一長い高速道路
東北自動車道は、埼玉県川口市から、群馬県、栃木県、福島県、宮城県、岩手県、秋田県を経由して青森県青森市へ至る高速道路で全長679.5kmである。

日本一長い道路トンネル
関越トンネルは、関越自動車道の群馬県利根郡と新潟県南魚沼郡の間にある。全長は上り線が11,055m、下り線は10,926mで、道路のトンネルでは日本最長、世界でも5番目。

日本一大きな遊覧船
ルミナス神戸2は 神戸港から出航する日本最大のレストラン船。1994年就航。総トン数4,778t、全長106.00m、旅客定員1,000名。

【お知らせ】国際交流を担う独立行政法人国際交流基金(Japan Foundation)内に4月1日発足の「日中交流センター」の公式サイトが7月1日から公開されました。「日中交流センター」は、長い歴史の中で育まれた日本と中国の絆を深めてゆくために、交流の機会や場を作ることを目的とした機関です。

→私は台湾の某ファッション誌の執行編集主幹で、東京関連の流行情報とファッションショーの報道を担当しています。私共は現在、東京から最新情報を定期的に提供していただける情報元を探しています。提供された文章と画像は、毎月当誌に掲載されます。「東京流行通訊」の皆様と連絡が取れましたことを、たいへん喜んでいます。共同作業については、編集長と相談の上できるだけ早くお返事いたします。【台湾  Ami

→我々の雑誌「50人」で、貴誌の6年来の「東京流行情報における文化」配信の歴史と経験を分かち合えることを願っています。貴誌の経験や考え方は、非常に貴重なものだと思います。このような企画をなさるのはどんな方々だろうと、私は大変興味を抱いております。この世界で今必要なのは、夢を持つこと、やり遂げること、そして新しいものを創造することです。【中国「50人」雑誌 葉子】

編集部から】イベント欄を今日から一週間のスケジュールとしてさらに充実しました。お出かけプランのご参考にしていただければ幸いです。

配信サイト
ALAYA
ゲーム・キャラクター

カップ麺とアニメのコラボレーション

近頃、日清食品のサイトへのアクセス数が3倍〜4倍に増加している。一体どうしてだろうか? その原因は小さなアニメ広告なのである。

4月下旬から始まった「CUP NOODLE」のCMが空前の人気を集めている。世界に名をはせた日本のカップラーメンと、同様に世界的に有名な日本のアニメーションとが合体して、「FREEDOM自由を掴め」シリーズが創り出されたのだ。これはアニメ作家の大友克洋らによる23世紀の月と地球を舞台にしたSFアニメーションで、放送開始後たいへんな反響を呼んでいる。もちろん、宇多田ヒカルの音楽も絶賛された。

今まで常に、カップヌードルの広告はスタイリッシュな作りを貫いてきた。1992年の原始人がマンモスを追いかける「hungry?編」はカンヌ国際CMフェスティバルでグランプリを獲得、その後、永瀬正敏の演技と「ベルリンの壁崩壊」や「ジョン・レノン」の映像とを合成した「20世紀カップヌードル編」も好評であったが、最近は特別に宇宙ステーション専用のカップヌードルを作って、ロシアの宇宙飛行士に撮影してもらった「NO BORDER編」が人々を驚かせた。

今回の「FREEDOM編」は月に移住した人類を描き、「科学技術の研究の自由」と「地球への渡航の自由」の二つの自由を剥奪された主人公タケルが様々な未来のバイクに乗って自由を追い求める物語である。すばらしい構成が見る者の心を強くひきつける。

CMだけでなく、6つの章から成るアニメシリーズのDVDも次々に市場に登場している。

(C)2006 NISSIN FOOD PROCUCTS

日清食品公式サイト http://www.nissinfoods.co.jp

 
世相・若者の生き方

子供のお仕事体験施設

東京の豊洲地区では、現在大規模な開発が進んでいる。高層マンション、ビジネスセンター、大学などが林立する「新副都心」に、今年10月とても面白い施設「Kidzania(キッザニア)」が誕生する。

これは日本初の、子供のための職業・社会体験施設である。中にはテレビ局、レストラン、スーパーなど、実際の社会と全く同じ50の施設があり、それぞれが3分の2のサイズで一堂に会している。子供たちはここで様々な職業を体験して報酬をもらい、施設内で飲食や買物など種々のサービスを楽しむことができる。「お金」を使い切らなかった場合は、貯蓄することもでき、利息も付く。

1999年、メキシコに世界初のキッザニアが誕生したが、年間82万人が訪れ、内227日が満員になるなど、大成功を収めた。そして、今年の秋にはいよいよ東京に登場することになった。東京のキッザニアは最大1500人収容可能で、毎日10時〜15時、および16時〜17時の2部制になっている。

施設に入ると、まず施設の地図が配布され、「空港」の搭乗カウンターに行った後、お金を「銀行」で専用貨幣「kidzo」に交換する。入場時に50 kidzo交換すると、5時間楽しむことができる。買物などでは10 kidzo を支払い、仕事をすると8 kidzoをもらえる。働けば働くほどたくさん報酬が出て、本物の社会と全く変わらない。

飛行機のパイロット、テレビ局の司会者、新聞記者、医者、警察官などなど、様々な職業が用意され、子供たちがそれぞれの才能を発揮してすばらしい社会を創り出すのを待っている。

(C)2006 Kids City Japan k.k.
Kidzania公式サイト http://www.kidzania.jp
 
編集後記

日本上空をいつもと変わらず通過する人工衛星が、夏至の夜に不思議な光景を撮影した。いつもは灯りが煌々と光り輝く日本列島が、突然光を失って暗くなり、周囲の海と渾然一体となってしまったのだ。

様々な色に変化するレインボー・ブリッジも、オレンジの鉄塔を夜空に向かって突きだしていた東京タワーもなくなり、大都市の喧騒も消えうせ、暗く静かな夜が次第に広がっていった……。

家の中のすべての灯りを消して、ベランダに静かに立って遠くまで深く広がる夜空を眺めていた。今夜は星が美しく瞬き、心地よい海風が吹いてくる。

四年前から、夏至と冬至の夜8時から10時まで、日本各地の多くの施設で灯りを一斉に消すようになり、「100万人のキャンドルナイト」のイベントが人々のあいだに静かに浸透していった。テレビのコンセントを抜き、ノートパソコンを閉じ、携帯の電源を切る。ろうそくの灯りで子供たちに絵本を読み聞かせる母親、ゆらめくろうそくの光でロマンチックに食事をする恋人たち、小さな火を見つめながら、同じ星空の下で生活する他国の生活を思う人々……そうして、生存の自由と考え方の多様性を人々に気づかせ、文明がさらに広がりさらに深まる可能性を発見させたのだった。

科学と技術は日々発展し、世界の進歩と人類の幸福を作り出すと同時に、環境破壊などの深刻な問題ももたらしている。「100万人のキャンドルナイト」のイベントは、「身近なところから」「小さなことから」という素朴な愛の表現なのである。

親愛なる皆さん、今年の冬至の夜、あなたも周囲の人を「おや」と思わせるイベントに参加してみませんか? 私たちと一緒に灯りを消してろうそくを燈し、一緒に「もっとすばらしい明日」を願ってみませんか?