世界中のたくさんの老若男女が、緑の芝生と白いボールに夢中になっている。四年に一度、人類の精華を集めてその興奮が最高点に達するサッカーの祭典、ワールドカップに、どれだけの人が心を奪われて泣いたり笑ったりしていることだろうか。ワールドカップは、国家の威信と民族の期待を集めた一つのシンボルになっているのだ。
だが今回私は、日本地図の中でまったく目立たない小さな町に強く心を揺さぶられ、感動の涙を流すことになった。新潟県十日町市は、4年前のワールドカップ日韓共同開催で練習地としてクロアチアチームを迎えた。そして何回かの公開練習と子供たちとの友好試合を通じて、クロアチアチームはこの地の子供たちに大きな夢と誇りを与え、十日町市民との深い友情を育んだのである。その結果、毎年9月に「クロアチアカップ・サッカー大会」を開催するのが十日町市の慣例となった。
6月18日の晩。日本チームが、このクロアチアのチームと雌雄を決する運命になった。日本チームにとっては、負けてしまえば決勝トーナメントに進む機会を失いかねない。日本チームを応援すべきか?それともクロアチアチームを応援すべきか?十日町市民は、難題を突きつけられた。
かつて新潟大地震で痛めつけられたこともある十日町市の人々は、何と驚きの決定を下した。それは、両方のチームを応援するという選択である。日本チームのユニフォームの人々と、クロアチアチームのユニフォームの人々が街に出て、両チームを応援するという前代未聞の光景が繰り広げられた。
日本チームに対する誇りとクロアチアチームに対する愛情がこめられた「がんばれ!日本・クロアチア」というサイトで、彼らはこんなふうに書いている。「私たちが望むもの、それは両国代表が気高いフェアな精神で、持てる力をすべて発揮し、美しく心に響くサッカーを見せてくれることです。……私たちは、ワールドカップが、勝者・敗者という対峙した立場を作り出すだけではなく、勝敗を越えて永遠に輝く友情を生む、大切な機会であることを多くの人々に知ってほしいと願っています。」
この日、世界の中で私がすばらしいと感じる都市が、また一つ増えた。新潟県十日町市。この町は、比類ない奇跡を作り出したのである。私心のない誠実な心を持つ人々が、この世界に対して胸を張って歌い上げる。愛と友情には国境がないということを! |