2006年6月16日第23号(通巻第39号) 毎週金曜日発行 ブログ 中文簡体 中文繁体
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ファッション・イベント

ロダンとカリエール展

国立西洋美術館で開催されたロダンとカリエール展は、彫刻と絵画という芸術表現のジャンルの違いを超えた芸術的思想の一致に焦点をあてた展覧会だった。彫刻家オーギュスト・ロダン(1840-1917)と画家のウジェーヌ・カリエール(1849-1906)の作品を見比べると、雰囲気が全く同じで、一人の作家の彫刻と絵画といっても違和感のないものに思えた。カリエールの、暗い背景から浮かび上がるような人物像の白いシルエットは思惟的で、内面の想いや憂いが見るものに迫ってくるようだった。ほとんど色彩のない茶がかったモノトーンの画面は、それでも十分に奥行きとボリュームを表現していて、彫刻的と言える。つまり、カリエールの絵画の立体表現がロダンなのである。この二人は象徴主義と呼ばれるが、ギュスタヴ・モローの物語的なデリケートな装飾性や、ルドンの神秘性などとはまた別な、人間の内面を表現する観念的芸術表現として、非常に似通った芸術家だったことがよくわかった。

東京で構成され、ロダンの彫刻を数多く有する国立西洋美術館で展示されたあと、パリのオルセー美術館に巡回するとのこと。本場フランスでの評価が楽しみだ。(西岡珠実執筆)

(C)National Museum of Western Art 2006
国立西洋美術館公式サイト http://www.nmwa.go.jp/jp/html/collection.html
 
家電製品・IT情報

ネット上のWeb2.0論争

「Web2.0」という言葉を聞いたことがない人は少ないだろうが、「Web2.0」がどういうものかをはっきり言える人もまた少ないだろう。このネットワーク世界の新しいトレンドを簡単に説明すると、「ネットワークを一つの巨大な交流プラットフォームとし、自分の情報を自分で掌握してコントロールできる」というものである。具体的には、単純にソフトウエアパッケージとして提供されるものではなく、ネットワークを介してサービスが行われ、ユーザ参加型の構造、データソースの拡張可能性、コンピュータとモバイル通信とテレビの間の融通性を備え、ユーザ集団の知恵を結集して最強の力を持った武器にするというものである。

「Web2.0」に関して、少し前に日本で小さな波瀾が起こった。ある人が「Web2.0」をキーワードとしてGoogle Trendsで検索したところ、得られた都市ランキングは、1.Meguro(目黒区)、2.Shinjuku(新宿区)、3.Shibuya(渋谷区)、4.Minato(港区)、5.Yokohama(横浜市)……等々という結果になったとして、雑誌ではこうコメントしていた。「何がトレンドだ?大騒ぎになったと思ったら、日本の中で騒いでいただけじゃないか。」

だが、ある人がここで問題点を発見した。何と欧米人がこの単語を入力する場合、習慣からbと2の間に半角スペースを入れて「Web 2.0」と打つというのである。試しに「Web 2.0」で再度検索してみると、都市ランキングは1.San Francisco.CA(サンフランシスコ)、2.Chennai(チェンナイ)、3.Delhi(デリー)、4.Vancouver(バンクーバー)、5.Seattle,WA(シアトル)……と変わった。この人は、雑誌記事の執筆者を玄人ぶった素人として批判すると共に、インドが将来IT分野で日本を超えるかもしれないことを指摘している。

このWeb2.0に関する皮相的な論争は、それ自体は大して重要なことではないが、Web2.0のまったく新しい概念を人々がどんなに重視し、それについて考えているかということは非常に重要であると言える。

 
観光スポット・グルメ

男前豆腐誕生物語

「男前豆腐」「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」「やっこ野郎」……最近、ブログで人気沸騰の「男前豆腐」が、本来は地味な存在であるはずのスーパーの豆腐コーナーをにぎやかに彩っている。このびっくりするような豆腐を製造しているのは、茨城県の「三和豆友食品」である。これらの一風変わった名前の豆腐によって、年間売上高は50億円に達している。

日本の豆腐業界の価格競争はたいへん激しく、今までの「3丁100円」といった安売り方式では顧客を引き寄せられなくなっている。そこで三和豆友食品の36歳の伊藤信吾常務は、まず豆腐の伝統的な四角形を脱却することから着手し、豆腐を細長い形や琵琶のような形のプラスチック容器に入れた。そしてそれらの商品に「男前豆腐」という名前をつけたのである。最初はどのスーパーもあまり受け入れたがらなかったが、イトーヨーカドーだけが積極的に販売を進め、意外なことに大人気となった。それが口コミで次々広がり、多くの店が相次いで取り扱いを決め、その結果「男前豆腐」は売り上げが一日2万個になってしまったのだ。

もちろん豆腐の名前と形に凝るだけではなく、理想的な大豆を求めて北海道まで視察に行き、豆腐の容器(水を入れた二層構造)や充填する水(沖縄の海洋深海水)にも工夫を重ねて、ついに「男前豆腐」を大成功に導いたのであった。

去年の3月、「男前豆腐株式会社」が正式に独立し、伊藤信吾氏は社長に就任した。7月には神戸に専門店舗を開設した。豆腐の新しいブランドが、ビジネス成功の新たなるページを開くこととなった。

男前豆腐店 http://otokomae.jp

 
イベント掲示板
日本のナンバーワ

過去最大の紙幣印刷ミス

  5月9日、千円札3万9,500枚に印刷上の不具合があり、一部の自動販売機等を通らないことが判明。  

日本最小の空弁

徳島空港で5月1日から発売中の空弁「花へんろ」は鳴門鯛やチリメンなど徳島特産の食材をふんだんに使ったオリジナル。直径約8センチのカップに入った手のひらサイズのちらしずしで、全国の空港で販売されている空弁では最小クラスだという。

日本一野鳥を救出した男

NPO法人エコシステムの平野虎丸氏は「全国野鳥密漁Gメン」の活動として今年3月までに野鳥の密猟など672件を告発し、密漁された約6万5,000羽を放鳥した。

夜行高速初 2階建て長大バス

ジェイアールバス関東(本社・東京)は9日、東京−大阪間に夜行高速バスとしては初めて2階建て長大バス「青春メガドリーム号」を14日から運行すると発表した。ドイツ・ネオプラン社製で全長15メートル。座席数は80で通常のバスの2倍を超える輸送能力を持つ。運賃は片道4,300円で、乗車1日前までに購入すれば800円割引される。

 

 

【お知らせ】国際交流基金日中交流センターが事業シンボルマークを公募しています!10日間の訪日旅行の懸賞つきです。応募資格は中国国内に居住し中国国籍を有する方。年齢や職業は問いません。アマチュア、学生の応募も可能です。賞品として2006年度内(〜 2007年3月)に、10日間の訪日旅行が提供されます。

→(メルマガ誌面上の)細やかなご配慮、素晴らしいです。そのようなお心遣いあってこそ読者がついてくるのだと思います。【東京 小島聡子

→日本をもっと深く理解するため、東京流行通訊の公式サイトで、日本人とコミュニケーションできる「場」を開設いただければ幸いですね。【台湾 小薫

→ きれいな写真と端正にならんだ文章にひきつけられ読み始めると、ぐっと引き寄せられました。今後の配信も楽しみにしています。【東京 大舘あずさ

【編集部より】今週号から本日本語版も毎週金曜日に中国語版と同時配信することとなりました。よりフレッシュなニュースをお楽しみください。
配信サイト
ALAYA
車・ドライブ・F1

金田バイクの魅力

2019年の東京を舞台としたアニメ大作「AKIRA」は大きな話題を呼んだが、中でも最も注目されたのは主人公の金田正太郎が乗り回す真っ赤なバイク「金田SPECIAL」だった。

最近、このバイクが近い将来東京の街を本当に走り回るかもしれないというニュースが伝わってきた。

今年4月の「東京モーターサイクルショー」で参考出展された「neo-fukuoka/1」は、現在「AKIRA」の原作者である大友克洋氏と出版元の講談社が認可した唯一の「公認金田バイク」であり、注目を集める流線型の美しい車体に、原作の風格が忠実に再現されている。だがこれは陳列品にすぎない。もう一つの「EV-X7」という新型バイクは、外観は金田バイクとはかけ離れているが、このバイクはSUMOモーターを搭載し、自由に走ることができる。このモーターが「金田バイク」の現実化を可能にしてくれるというのである。

金田バイクを開発した「neo-fukuoka」は、構想、設計、製作に7年を費やし、ついにこの「AKIRA」ファンの夢のバイクを発表した。「燃料電池、モーター、カーナビから電装システムまで、基本的にすでに実用段階に入っており、次の段階として大量生産して市場に出すことも不可能ではない。」とneo-fukuokaでは語っている。

「金田バイク」が日本を疾駆するのを目にするのは、2019年まで待たなくてもよさそうである。

(C)MASH-ROM Co., Ltd.
(C)講談社
neo-fukuoka公式サイト http://www.neo-fukuoka.com/
 
芸能・ドラマ・音楽

人間国宝 西川扇蔵氏 ― 日本の古典芸術を世界へ

日本舞踊西川流の「第九回 西川扇蔵 素の会」が去る6月6日 東京都千代田区の国立劇場小劇場で行われた。常磐津「千代の友鶴」、清元「茶筅売」、長唄「賎の小田巻」の三番。十世宗家西川扇蔵氏が平成3年から取り組んでいる素踊りのシリーズ公演の9回目となる。衣装もかつらもつけない、いわば舞踊のデッサンともいえる素踊りは、十世宗家の心技体の調和を際立たせ、客席は静かな熱気に包まれていた。

昭和3年に生まれ、昭和8年に初舞台を踏み、七歳で十世西川扇藏を襲名、平成11年重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された西川扇蔵氏の胸中には、今、わが国の最も古い伝統芸能のひとつである日本舞踊のグローバリゼーションがあるようだ。一つには、世界公演、もう一つは外国人の舞踊家の養成である。アメリカ サンフランシスコの稽古場で日本舞踊の海外普及に努めるほか、氏が理事長をつとめる財団法人日本舞踊振興財団は、平成6年の米国での大型公演開催を皮切りに、その後ドイツ、フランス、イギリスとヨーロッパへ上陸し、来年はロシアで二つの公演を計画中である。海外での評価は非常に高い。近い将来、能楽、文楽、歌舞伎に続き、日本舞踊がユネスコの無形文化遺産に選定されることを期待したい。Nyanya執筆)

(C)Nishikawaryu.2006

西川流公式ホームページ http://www.nishikawaryu.jp/html/profile.htm
 
編集後記

日本列島が梅雨に支配されて、憂鬱な空気に息が詰まりそうな日は、やっぱり外に出かけるのがいちばんだ。

色鮮やかな傘をさして、降り続く雨のカーテンをくぐり抜け、流行ファッションの発信地渋谷へ、今いちばんの新鮮な情報を探しに行こう。

ハチ公の交差点は、一回の青信号で300人以上が横断する「超過密地帯」である。しかし、ここでのわずか1分30秒の信号待ち時間に、若者たちはロマンチックなドラマを繰り広げてくれる。

「あの女の子は男の子の手をしっかり握っているね。あ、見て、キスしてるよ!」

信号を待っている間にキス?! みんなが見ているのに、恥ずかしくないの?

記者の質問に、女性が答える。「私が何をしたかって?もう忘れたわ。」男性が言う。「他の人なんか気にしてない。それに、誰も見てないよ。」

こちらで質問している間にも、あちらではまた他のカップルが……男性が女性の肩を抱いて頭を低くして……傘の下で熱いキスを交わしている。

「電車でキスをするのは恥ずかしいけど、ここなら気にならない。」(女性)
「若者のすることだから、みんな許してくれる。」(男性)
「みんなの見ている前で仲良くするのは、喧嘩するよりいいわよ。」(通りすがりの女性)

だが、このような「開放的」な行動を誰も気にかけないわけではない。数人の中年サラリーマンたちは、かなり反感を持っているようだった。「本当に、ますますだらしなくなったな!」

冷たい目で見られても、悪口を言われても、若者たちは我関せずといった風情だ。正午の渋谷駅前の交差点を行きかう人の流れの中で、一組のカップルが横断歩道の上でしっかり抱き合ってキスをしていたが、なかなか離れがたいようで...。青信号が点滅して時間ですよと催促しているのに。

ああ、この悩ましい初夏、ほほえましい気持ちにさせられる初夏である。