2006年2月1日第4号(通巻第20号) 毎週水曜日発行 中文簡体 中文繁体
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家電製品・IT情報

トイカメラへの逆行ブーム

近年カメラの性能は日進月歩で発達しており、デジタルカメラやカメラ付き携帯電話を使って誰でもきれいな写真が撮れる時代になった。だが日本では最近、高水準のカメラとは逆行するブームが起こっている。それは、画面がややぼんやりして写る、働きが単純な 「トイカメラ」の流行である。去年の年末から若者の間で大人気なのである。

トイカメラは画素10万〜30万で液晶もなく、基本的にストロボも記録媒体も持たない。だが価格が安く、びっくりするほど小型だったり、あるいは思いがけないデザインだったりして、見ているだけでもなかなかおもしろい。玩具なので理想的な写真を撮ることは期待できないが、失敗作の中から偶然に面白さを発見することこそ、トイカメラの人気の理由なのである。

気に入ったトイカメラが見つかって周囲の人に見せると、10人中9人が「かわいい!」「これで写真が撮れるの?」と言う。トイカメラを手に入れると、子どものような満足感が得られる。いつでもどこでも持ち歩け、人間を撮るときには、カメラの外観が被写体の緊張を解いてくれる。自分のサイトがあれば、失敗した写真に加工やデザインをほどこして公開するのもなかなか楽しい。

現在50種あまりのトイカメラが日本の市場に出回っており、これまで毎月数千台が売れているが、去年の12月には販売量が一気に数万台にはねあがった。渋谷のあるトイカメラ店には、SMAPの香取慎吾も買いに来たそうだ。

トイカメラはほとんどが1万円以下で、 ちょっと高級ではあるがデジカメとしては非常に安い玩具であると言える。一台買ってみては どうだろう?友達へのプレゼントにも最適だ。ふだんは写真に興味がない人も、きっと夢中になるだろう。 (中嶌重富提供)

トイカメラ http://toycam.imaimax.com
 
先端技術・出版・雑学

世界が愛用する日本語の本

世界中で人気を博した日本の著作はたくさんある。例えば、村上春樹の「海辺のカフカ」はニューヨークタイムズの2005年の「今年の10冊」に選ばれた。もちろんこうした本はすでに各国語に訳されている。しかし、日本語版しか出版されていないのに、全世界で大変人気のある著作もある。それは丸善が発行している「理科年表」である。

「理科年表」は、「暦」「天文」「気象」「物理」「化学」「地学」「生物」「環境」など科学関連のデータを載せた本で、「自然界の辞典」と呼ばれ、主として研究者や学生のために作られている。初版は大正14年(1925年)で、以後毎年最新版が編集され、今年は79冊目であり、累計250万部売れている知られざるベストセラーである。

アメリカにはスポーツ記録を記載した多くの書籍があるが、研究者の使用には提供されていない。 そこで日本の研究者が「理科年表」を持っていったところ、それが次々に広まることになり、現在 NASA (アメリカ航空宇宙局)と中国の清華大学でもこれを使用している。

約30名の監修者に加えて100名あまりの協力製作者や研究機関の人々が参加し、何度も校正を重ねて完成する。新しいデータの発表にぶつかったり、間違いを発見したりした場合は、印刷を停止して確実に間違いをなくすように努めている。

そうそう、本の最後には1901年から2005年までの105年間のノーベル賞の受賞者名と受賞理由が収録されており、これも一読に値する。(本文は雑誌「R25」の関連する文章をリライトした)

(C)MARUZEN CO., LTD. 2006

「理科年表」平成18年度版 http://pub.maruzen.co.jp/book_magazine/rika/rikanenpyo.html
 
芸能・ドラマ・音楽

冬季オリンピックに咲く三つの花

2月10日から始まるトリノオリンピックで日本全国が注目する三つの「氷上の花」とは、女子シングルフィギュアスケートで戦績が輝かしい安藤美姫、村主章枝、荒川静香の三人である。

●曲折を恐れない安藤美姫(あんどう・みき、18歳)
9歳でフィギュアスケートを始め、小学校 5年生で三回転ジャンプに成功。現在世界の女子選手で唯一四回転ジャンプに成功した選手である。だが、今期の国内予選では転倒、回転不足などの失敗が重なり、右足小指を骨折したり曲を変更したりするなど、人々が最も期待を寄せると同時に最も心配な選手である。

●表現力の素晴しい村主章枝(すぐり・ふみえ、24歳)
6歳でスケートを始めた。特別な技巧は持たないが、すばらしい表現力で世界のフィギュアスケート界のリード的地位を保持している。表情、手足の細かい動作、および音楽と巧妙に融合した演技が、観衆をうっとりさせ、それが試合であることを忘れさせてくれる。

●進化する女王 、荒川静香(あらかわ・しずか、23歳)
6歳でフィギュアスケートを始め、 一昨年は世界選手権のチャンピオンとなった。昨年 はコーチから離れて一人の戦いを開始した。他の日本選手を超越した柔軟性を持ち、長身の利点を生かして、欧米が伝統を持つフィギュアスケート界に衝撃を与えることが期待されている。

(C)時事通信社
goo スポーツ トリノ五輪特集 http://number.goo.ne.jp/torino/
 
イベント掲示板
日本のナンバーワ

ナイアガラの滝花火

2003年8月24日、 福岡県柳川市 の「有明海花火大会」では、3125.79メートルの長さの花火「ナイアガラの滝」の点火に成功し、世界記録を打ち立てた。これは2004年2月12日、ギネスブックに認定された。

世界一丈の高いコスモス

2003年4月28日、 岡山県真 庭市では、防風網を設置して3.75メートルの高さのコスモスを栽培した。野外のものは枯れてしまったが、実行委員長が自宅の裏山で育てたものは元気に生長したのである。2004年4月、この記録はギネスブックに認定された。

保険加入者が最多

  愛知県は全国でJA共済保険の加入が最も多い県である。農業が盛んなため、農協への信頼が深いのだ。2003年に契約された保険金額は10兆5730億円で、日本第一位である。第二位は 静岡県 で、9兆5850億円、第三位は長野県で、9兆5320億円である。
華人の見た日本

海上のシャングリラ (中国)無名氏

日本人の心の中の楽園とは、海上の浄土とも言える沖縄である。沖縄は中国から近く、上海から飛行機で 1 時間 40 分しかかからない。東京から沖縄までより近いのだ。

俗に「気候風土が人情を育てる」と言う。沖縄に行ってみると、建築も生活習慣も日本式だが、沖縄の味は遠く離れた日本本土とはまったく違う。中国の楽園といえば雲南である。雲南の人々はゆったりとした歌を歌うのがうまく、その歌声からは高原の気風や楽園の雰囲気が強く感じられる。一方沖縄の音楽もゆったりとした曲が多く、発声が独特で、柔らかな中に芯が通っている。 1990 年代、発展を遂げた日本はあっという間にポップスに染まり、欧米の音楽の攻勢にさらされた。日本の音楽界は苦境の中で道を求め、歌手たちは沖縄を再発見して、そこに創作の素材を得てそれを加工し、沖縄音楽の一派を確立した。沖縄の味わいは、原液としての日本の味であり、本来の姿に回帰した味なのである。

日本本土にはたくさんの温泉があって人々を楽しませているが、沖縄には温泉がない。沖縄は周囲を海に囲まれており、海水浴場が温泉に取って代わっているのだ。だが、一部の日本人は海水浴場を温泉と見立てているのか、砂浜で水着の上にバスタオルを巻き付ける姿も見られて面白い。

歴史的には沖縄は米しかとれず、小麦の食べ物はないが、現在は小麦食品が盛んで、中でも麺類の食べ方は十種を下らない。最も面白いのは、庭に竹で水を流す道を作り、冷水を清潔な入れ物の中に引き、よく茹でたあつあつの麺を冷水の入った入れ物の中で冷やしてすくいあげて食べるものである。沖縄は亜熱帯に属し、湿気が多く暑いので、冷たい麺を食べるのは気持ちがよい。竹で水を引くのも、なかなか趣がある。

「人民網」 より(本編集部で一部削除した)
日本人の見た華人

宗教は?と聞かれたら ( 日本 ) 梅友仁

中国人は、自分が疑問に思ったことはトコトン突っ込んで聞いてくることがあります。例えば台湾では、「ニー シン シェンマ ツォン チィアオ(宗教は何ですか?)」と聞かれることがあります。

何か宗教を信じていれば、そのまま答えればいいのですが、特に信じていない場合は大変です。「我都不信(何も信じていない)」と答えると、「そんなはずないだろ!!日本には神社やお寺がたくさんあるのに」といわれ、疑問を解決しようといろいろ質問されます。

そこで、「正月の初詣の時は神道で、結婚式の時はキリスト教で、葬式は仏教で・・・」と答えると「日本人はどうしてはっきり答えないの?」と、話しが「民族論」にまで広がってしまい、その場の空気が重くなってしまいます。

そのような時、「我信睡覚。ウォ シン シュイ チィアオ」と言いましょう。場が和むはずです。「睡覚」とは「寝る」こと。「仏教 フォ チィアオ 」「道教 タオ チィアオ」「基督教チー トゥ チィアオ(プロテスタント)」「天主教 ティエン チュ チィアオ(カトリック)」の「教」と「覚」の発音が同じなので、とりあえず笑ってくれます。笑いがとれたら、話題をかえて楽しく会話を続けてください。

●使用上の注意●
場がしらけて空気が余計重くなっても、私たちは責任とりません。自己責任のもとお試しください(笑)。

読者からのお便り

→「東京流行通訊」は、テーマの選択から内容まですっかり新しくなりました。私は多くのメルマガを購読しましたが、今日まで読み続けているのは二、三誌に過ぎません。貴メルマガは私の生活にリラックスと楽しさを与えてくれる唯一のメルマガです。【中国 耶健

→友達に勧められて毎週読んでいますが、別の角度から日本を理解できて、収穫が多いです。また、日本語のレベルも上がりました。ここに、心から感謝します。【中国 汪徳滄

→日本に留学したことがありますが、台湾に戻ってからは日本の最新の流行情報を得る方法がなくて困っていました。「東京流行通訊」はここ数年来で唯一の、私が時差を感じないで情報を得られるルートです。貴編集部を表彰したいぐらいです。日本の流行文化を伝えてくださることに感謝しています。【台湾 克峰

→どの欄も非常に優れていますが、私が一番好きなのは「華人の見た日本」と「日本人の見た華人」の二つです。毎回読むたびに、深い印象を受けます。時には自分と同じことを感じている文章もあって、感激したりします。【中国  JonlymaX
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ゲーム・キャラクター

DS」人気の秘密

1月3日任天堂は、ゲーム機「ニンテンドーDS」の世界累計販売数が1000万台を突破し、日本での販売数は500万台に達したとのニュースを発表したが、何とその二日後にはさらに「品切れのおわび」が発表された。現在日本中のゲームマニアがDSを探し回るという状況になっており、ネットの掲示板ではDSに関する書き込みが頻繁に更新され、熱気を帯びている。

「DS」が携帯ゲーム機の世界で圧勝したことは、多くのメーカーの予測のみならず、任天堂自身の予測もはるかに超える事態であった。成功の理由は次の二点であろう。第一に、DSは同類の商品では 無用とされた技術を使って 、質が高く価格が安い製品を創りだした(二つの画面にタッチペンを加えた技術であるが、子どものお年玉でも買える値段で販売)。第二に、コンピュータゲーム業界が複雑な操作を追求している流れの中で、本来の姿を守り続けた(ボタンの数をできる限り減らした結果タッチペンの登場となり、初めて使ったときから簡単に操作できる)。

もちろん他にも、「おいでよどうぶつの森」のような人気のあるゲームソフトの影響もある。このソフトは去年の 11月23日に発売になり、たった一ヶ月で127万枚を売り上げた。 これはDSバージョン で初めて WiFi に対応し、ネットを通じてゲームを楽しむ他の人々と コンタクトす ることができる。

「おいでよどうぶつの森」の内容は単純で、ゲームをする人は動物と対話したり、花を育てたり、魚釣りをしたりして、現実世界と同じリズムで流れる一日を過ごす。しかし、夜間のゲームには制限があったり、他の森に行くときは 友達とタイミングを合わせなければならないなどの設定があり、もっとどうぶつの森にい たいという気分にさせられる。これが、今までゲームに興味がなかった多くの大人たちも「おいでよどうぶつの森」を買って、DSを探し求める理由なのかもしれない。

先週木曜日(26日)、任天堂が小型化した「ニンテンドーDSライト」を 3月 2日に販売を発表した。「 DS 」が一人勝ちの状況は、しばらく続きそうだ。

(C)2006 Nintendo .
任天堂DS公式サイト http://www.nintendo.co.jp/ds/
 
世相・若者の生き方

ホームレスと雑誌

駅の周辺で雑誌を高く掲げて販売する中高年の人々を見かけたことがあるかもしれない。これは日本で唯一の、ホームレスが路上で販売する雑誌「ビッグイシュー」である。定価200円の雑誌を一冊売ると、110円が彼らの収入になる。最初の10冊は無料で提供され、これを資金として1冊90円で仕入れて販売する。去年の3月末までに98万冊が売れ、約1億1000万円がホームレスの収入になった。


この「ビッグイシュー」はもともと1991年にロンドンで誕生し、日本では2003年9月に正式に創刊された。これによってホームレスに、再生のための三つのステップが提供される。一、毎日25〜30冊売ると、約1000円の「簡易宿泊所」に入れる。二、毎日35〜40冊売ると、隔週刊なので7〜8ヶ月後には一人用のアパートが借りられる。三、これを基礎として、正式な仕事を探す。

欧米のホームレスには、若いのに一日中酒や麻薬におぼれている人が少なくないが、日本のホームレスの平均年齢は55.9歳で、その中できちんと働きたいと思っている人は49.7%を占める。どうやってホームレスに再生の機会を与えるかが、一貫して重要な課題であった。

現在京阪神(京都、大阪、神戸)地区で60名、関東地区で50名、仙台で10名、全国合わせて120 名ほどが「ビッグイシュー」の販売に携わっている。そのうち、正式な仕事に就けた者はすでに10名を超えた。

調査によれば、この雑誌を買うのは20歳過ぎの女性が最も多く26%を占めている。このことはホームレスの人たちを感激させると共に彼らに誇りを持たせ、彼らに新しい生活を始める自信と勇気を与えている。(本文は雑誌「ダカーボ」の関連する文章をリライトした)

(C)2006 Big Issue Japan.

THE BIG ISSUE JAPAN 公式サイト http://www.bigissuejapan.com
 
編集後記

それはジーンズの後ろのポケットに潜ませてある。毎日持ち歩くのが、もう自然な習慣になってしまった。

かつて、「10日に200本撮る」という、撮って撮って撮りまくるプロの訓練を受け、「押入れを簡易暗室に改造」という情熱の行動に走り、写真展開催、表彰式を テレビに中継され などの栄誉に陶酔したこともあった。だがある時突然、「撮影」は見知らぬ人のように私から去っていってしまった。

ある冬の午後、長い間ごぶさただった「ニコンF3」と埃にまみれた分厚い ネガ アルバムを整理していると、何年も前の記憶がみるみるよみがえってきた。あのとき教壇に立って、多くの卒業生が社会に出ると、仕事の苦労や家庭の悩み、生活の負担などによって写真を撮る時間も気持ちも失われていくことに言及した後、恩師の深瀬昌久氏は鬚をなでながら淡々とおっしゃった。「でも一日一枚撮れば、一年で三百枚以上になるんですよね。」

それを持ち歩くようになったのは、その日の午後からである。

それはジーンズの後ろのポケットに潜ませてある。毎日持ち歩いて、半信半疑で撮ってみる。

少しずつ、少しずつ発見する。毎日見慣れてろくに見もしない出勤の途中に、たくさんの気がつかなかった小さな楽しみが隠れている。腰をかがめて寒風の中で落ち葉を拾うおばさん、 歩いてはしきりに振り返るぶちがらのチワワ、 ワイヤだけで作られたシンプルなファッションを飾ったショーウインドウ、ピアノの鍵盤のように雪の積もったらせん階段……、生活はもはや、家−会社−家の単調な毎日の連続ではなくなった。無数の「決定的瞬間」がいつも待ち構えている。ジーンズの後ろのポケットの中のそれが直ちに出動するのを待ち構えている。

本当に魔法の道具である。それは生活の中のたちまち消えていく一瞬を捉えようとし、最も大切にすべき今が何なのかを教えてくれる。それのおかげで感情がもっと細やかになり、それのおかげで人生がもっと充実するのだ。

ジーンズの後ろのポケットに潜ませたもの。――それは、名刺入れほどの大きさのデジタルカメラ。