早朝の横須賀は静けさに包まれている。柔らかなオレンジ色の逆光の中では、「水と光と音の公園」と呼ばれる三笠公園の中の、昔は戦場で活躍していた軍艦三笠と将軍の像も、毅然とした重厚さがいくらか和らげられ、歴史の流れに感慨を覚える。それぞれデザインの異なる広々とした噴水が三つあり、中でも緑の丘を背にしたヨーロッパの城壁風の噴水は、切り出した褐色の石で作られ、重々しい雰囲気の階段が、濃いブルーから淡いブルーへと変化する海に向かっている。公園全体に、平和で温かい気分が満ちている。
都市の雰囲気は子供たちによって決定されると言われるが、うみかぜ公園は正に子供たちのための公園だ。走り回る子供たちが、公園の風景を動きのある絵画のように見せている。一面ブルーのスケボーエリア、ヨーロッパ庭園のような花壇、海岸には釣りを楽しめる場所が長く続き、銀色の柵に沿って釣り人たちの椅子が並んでいる。丘の上には、バーベキューを楽しむ人々が見られる。この公園は名前が示すように、大自然の贈り物として、人々に太陽の光、海、そして爽やかな海風を与えてくれる。
横須賀と言ったら、まずカレーを挙げなければならない。百年前にイギリスから伝わった海軍カレーは、横須賀の誇りになっている。横須賀はロマンチックな音楽の街であると共に、カレーの街でもあるのだ。日本のカレーは横須賀が起源であると言っても言い過ぎではない。横須賀中央駅近くの海軍カレー本舗は、多くの観光客が選ぶナンバーワンの店で、百年前のオリジナルの味を再現し、栄養バランスも整えられた海軍カレーは、横須賀を訪れる人々が絶対味わうべき美食である。
最後に、アメリカ海軍基地についてご紹介しなければならない。かつて基地の入口について、何度も想像してみたことがある。想像の中の基地の入口には、幅のある重厚な鉄柵の門があって、そこには見る者を圧倒するようなアメリカの国章や白頭鷲のマークが彫られ、黄色の地色に英語と日本語の黒く太い文字で書かれた警告パネルが掛けられ、その前には実弾入りの銃を持った迷彩服の白人の警備員が立っている、というようなものだった。だが実際の基地の入口は、門前に巨大な錨のモニュメントがある以外は何の特色もなく、立ち入り禁止の警告パネルも普通の白いもので、あまり目立たない。警備員は中年の日本人が4〜5人のんびり立っているだけで、私がモニュメントの写真を撮るのを見て、挨拶してくれた。
横須賀はこのように純朴な雰囲気の港町で、友好的な気分に満ちており、米軍基地の警備員も例外ではない。横須賀は軍港として有名で、ガイドブックにも威風堂々とした軍艦についての記載が多いが、私が訪ねた中で最も穏やかで平和な場所だった。(李薊執筆、撮影)