九月の芦屋はまだ夏の盛りで、蝉の声はやや少なくなったものの、太陽の光は少しも衰えを見せていなかった。山が海に迫る地形で、背後には緑の山が、目の前には大きな海が広がり、日本的な情緒に溢れる京都とも、仏教的で静かな奈良とも異なっている。街が作られた当初から国際観光都市であったためか、都市全体の姿も建築群も和洋折衷の趣を持ち、さらに山も海も備えているため、芦屋は日本でもたいへん有名な高級住宅街となっている。
大阪から神戸に向かうJR東海道線に乗ると、約15分で芦屋に到着する。リュックを背負い、iPhoneを持ち、駅のカフェでアイスコーヒーを買って、あたりに漂うコーヒーとケーキの香りを楽しみながら芦屋の旅が始まる。住宅街を北に行くと、ビゴ芦屋店に出会った。ここでホットドッグかパンを買い、手にはアイスコーヒーを持って、一人歩きの旅であっても退屈することはない。そのまま北上して静かな住宅街を抜けると、緑の木々に包まれた芦屋神社が見えてくる。真夏なので神社の境内に花はあまり見られないが、緑の葉が生い茂って生気に満ち溢れている。神社にいたおじいさんによると、境内の老木は樹齢数百年とのことで、彼は毎日木の下で瞑想して啓示を受けているのだそうだ。おじいさんの話を聞いたせいだろうか。木の下で休んだ私も心が穏やかになって、風が木の葉を通り過ぎるさらさらという音と、遙か遠くから伝わってくるような鳥の声だけを感じていた。芦屋神社は縁結びでも有名なので、女性のみなさんはここに来たら、くれぐれも願掛けを忘れないように!
芦屋神社を出て、坂道をまっすぐ下って行くと、芦屋川に行きあたる。芦屋川の風景はたいへん美しく、両側にはさまざまな日本風や西洋風の住宅が並んでいる。川に沿って海の方向に歩くと、ジョギングをする人や、魚を捕って遊んでいる子供たちに出会うこともある。川の水は冷たく透明で、岸辺には緑の草が茂り、川辺の芦屋公園にはテニスをする人もいるし、子どもたちはペットと楽しそうに遊んでいる。都会の喧騒から離れて自然に親しみたい人にとって、ここはとても理想的な場所である。川に沿って下流に行くと、芦屋川の河口にたどり着く。天気がよいので、海面は波がなく静かで、海水も透明である。海辺で糸を垂れる釣り人たちもこの風景に溶け込むように思われ、山と海が寄り添う美しい情景が広がっている。
芦屋の一日は、静かで平和で気持ちの良いひと時であり、都会の生活に疲れた人々が週末の一日を利用してここを訪れ、神社の木の下で瞑想にふけり、川岸の公園で楽しく遊び、海辺の砂浜を散歩することができる。こうして私たちは心の疲れを取り除くことができ、さらに静かに午後のお茶を楽しめば、悩みごともすべて風と共に去ってしまうに違いない。(小雅執筆、撮影)