5月30日、群馬県と群馬県ふるさと伝統工芸士会の主催による「群馬県ふるさと伝統工芸品展」が、群馬県庁の1階で開幕した。5月30日から6月3日までの5日間、県内の各市や郡の伝統工芸品がここに集まった。会場では職人たちによる製造過程の実演が行われ、精緻な工芸品が誕生するすばらしい瞬間を見せてくれた。また自分の手を使って、伝統工芸製作の難しさと楽しさを体験するコーナーもあった。
【高崎だるま】室町時代に日本に伝わった達磨大師の坐像を原型として作られた。最初は「起き上がりこぼし」のような玩具として各地に流行した。その後さまざまに変化して、次第に特色を持った民間工芸品として形成されていった。真っ赤な色は、日本で古くから魔除け、災難除け、吉祥、慶事の意味を持つと考えられてきたので、江戸時代から達磨は赤く塗られるようになり、縁起のいいものとして幸福な生活を祈るためのものになった。達磨はこのように幸せのシンボルとしての意味があるので、地域の人々にたいへん愛されている。人々は毎年正月に群馬の初市で、いくつかの達磨を買って帰り、新しい一年の幸福を祈るのである。
【ぐんまのこけし】群馬県の伝統工芸品と言うと、多くの人がまず「こけし」を挙げる。生き生きとした姿で、ほとんど装飾を持たないこけしは、爽やかで洗練された印象を与える。こうしたシンプルで何も装飾がない製作方法が、日本のこけしにユニークさとすばらしさを与えているのかもしれない。こけしは早くも江戸時代に登場していたが、当時は子供の玩具でしかなかった。その後、長い間に発展と変化を重ね、そのすばらしい造形と図案によって人々に愛されるようになり、玩具から家庭内の装飾品へと生まれ変わった。地域によってこけしの形式はさまざまである。群馬のこけしは、こけし本来の精緻で細やかな特徴を保つ一方で、土地の民間の特色であるシンプルで細かく爽やかなイメージを加えて、群馬の風土や人情を表現している。
「群馬県ふるさと伝統工芸品展」はすでに終了したが、鑑賞に訪れた多くの観光客に対して、視覚と意識において衝撃を与えたに違いない。この展覧会は、伝統工芸品が単なるモノではなく、その地区の人々の深層の文化を体現したものであることを改めて表現して見せてくれたのである。(Luc執筆、撮影)