アニメ映画などで見慣れてしまったせいか、人間と対話するロボットと聞いても、多くの人はあまり驚かないかもしれない。だがコミュニケーション能力を持ったロボットと一緒に生活することは、我々の現実の生活とはまだかなりかけ離れたことなのである。電通、東京大学先端科学技術研究センター、ロボ・ガレージは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の協力の下で、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」内で宇宙飛行士、若田光一さんと過ごすヒト型コミュニケーションロボットを共同開発している。
この計画は「KIBO ROBOT PROJECT」と呼ばれ、JAXAが公募した「『きぼう』を利用した社会課題解決テーマのフィージビリティスタディ提案」に採択されたものであり、2011年から1年にわたって検討が重ねられた。具体的には、「きぼう」の中で、宇宙飛行士と自律動作および遠隔操作によるコミュニケーションを行ったり、地上に向けて情報を発信したりするのに必要な2体のロボットを開発中で、そのうちの1体は予備ロボットで、地上で本プロジェクトの活動紹介を行う予定だ。
ロボットの身長は34cmで、想像したものよりはるかに小さい。全幅は18cm、奥行きは15cmで、重さはわずか1kgである。日本語を話し、音声認識、自然言語処理、音声(発話)合成、情報通信機能、コミュニケーション動作、顔認識カメラ、記録用カメラを備えている。宇宙用のロボットと地上用のロボットは、一部の色が異なり、発話内容と音声も多少違っている。
ロボットの本体は東京大学とロボ・ガレージが、会話コンテンツは電通が開発中である。このプロジェクトは多くの企業の協力を得ており、トヨタ自動車も参加している。トヨタは、音声認識技術と自然言語処理の開発を担当し、ロボットの知能化を行う。完成予定は2013年2月で、同年夏には宇宙に旅立つ。「KIBO ROBOT PROJECT」はもともと社会課題解決のためのものであるから、その任務はもちろんただの宇宙飛行だけではない。その本来の重要な目的は、「単身化社会」から生まれるコミュニケーションレスの問題の緩和である。人類の高齢化とライフスタイルの多様化により、単身人口はますます増加しており、ロボットとのコミュニケーションによる問題の解決が、一つの方法になるかもしれないのだ。2体のロボットはまだ名前を持っていない。公式サイトでは、彼らの名前を募集中である。(緋梨執筆)