日本はさほど面積が大きくない島国だが、非常に豊富な自然資源を擁している。景色がよく、温泉の泉質も高いのに、交通の便が悪いなどの理由で開発が進まず、あまり人に知られていない温泉は「秘湯」と呼ばれる。天然の温泉が山や谷の奥に隠されているのは珍しくないが、一定の数の利用者があるから建設されるはずの駅にも「秘境駅」があるという。これは実に不思議なことだと思う。付近に集落もなく、車で行くのもたいへん不便な駅は、「秘境駅」と呼ばれ、人々はこうした秘境に大きな興味を寄せる。日本の秘境駅について知るために、「一度は行ってみたい秘境駅ランキング」の上位三駅を見てみよう。
第一位:竜飛海底(たっぴかいてい)駅。名前を聞いただけで普通ではない感じがする、北海道の海峡線のこの駅は、緊急時に旅客を避難させたり、点検修理時に必要な器材を置いたりするために作られた。青函トンネルの海底部分にあるこの駅は、一般の駅よりホームがずっと狭く、普通の旅客は使用できない。見学整理券を持った人だけが下車できる。
第二位:抜海(ばっかい)駅。稚内市にある、JR北海道の宗谷本線の駅であり、日本最北端の無人駅である。駅は、開業当初の木造建築がそのまま保持されている。冬は激しい暴風雪に襲われるため、駅舎は厳重な覆いで囲まれている。駅前には1、2軒の民家があるが、店はない。その外は、一面の牧草地である。
第三位:千代(ちよ)駅:長野県飯田市にある、JR東海の飯田線の駅である。この無人駅には駅舎がなく、ホームに待合所があるだけだ。2003年から2009年にこの駅を利用した乗客は、各年10人未満であった。ホームから、天竜川の美しい景色が眺められる。
秘境駅とされるところは、駅も線路も廃止の危機に直面しており、こうした興味深い秘境駅は、チャンスがあれば是非訪ねてみる価値があると思う。だが、年間の利用者が数えるほどである秘境駅では、当然毎日走る列車数もたいへん少ない。下車したら、数時間待たないと次の列車が来ないので、待っている間はどうしたらいいだろう?周囲を歩き回ってもいいかもしれない。下車した後、列車が発車するのを見送る時は、ちょっとさびしい気持ちになるに違いない。(絵梨執筆)