ここ数十年、アジア各国の経済は急速に成長し、人々の収入や生活水準も大きく変化した。だがベンツを乗り回すことは、今でも成功した人々の社会的地位を示すシンボルであり、多くの人が努力するための目標の一つでもある。だからベンツが大きな話題として取り上げられるのは、別に驚くほどのことでもない。しかしこの目を奪うほどに光り輝くベンツSL600を実際に見たら、ほとんどの人があまりの驚きに呆然としてしまうことだろう。
自動車のインテリア・エクステリアパーツなどを製造するギャルソン社は、もともとブラックマフィアやD.A.Dなどのブランドを扱っていたが、今では国産車だけでなくベンツのパーツも主力商品の一つとなっている。ベンツSL600は現行モデルの中でも最高レベルのものの一つだが、ギャルソン社では今回ベンツのために光り輝く衣装をあつらえた。一台の自動車に使われたクリスタルは30万個であり、これらはすべて手作業で貼り付けられている。一台の車を装飾するのに20名の作業員が3ヶ月もかけ、ドアの装飾は社長が自ら担当したという。ギャルソン社の開発した耐久性と強度の高い接着法は、特許を取得している。光り輝くベンツが一般道路を彗星のように疾駆するのを目撃することができたら、それはとても幸運なことに違いない。クリスタルで装飾された自動車の価格はどのぐらいなのだろうか?ギャルソン社ではかかった費用を公開していないが、ネット検索したところ、クリスタルのシートを買って、ハンドル中央のエンブレムに自分で貼った場合、それだけでも約18000円かかるそうだ。大きな面積に必要な材料と人件費を考えると、天文学的数字になるに違いない。
クリスタル装飾の価格は様々なので、一概に言うことはできないが、世界でも屈指のクリスタル製造会社スワロフスキーがベンツと共同設計した非接触型キーの価格は約6万円である。完全手作業で、最初は限定800個発売と聞くとたいへん魅力を感じるが、一般の人がこのようなキーを使うのには勇気が必要だ。クリスタルで装飾した車が発展する将来性はどのぐらいあるだろう?世界でたった一つの、15万個のクリスタルを使ったトヨタ「ハリアー」が、先月26日に日本ホビーショーで公開された。経済的事情が許すならば、ちょっと乗ってみたいというカーマニアの潜在的需要は、決して少なくないと思われる。(緋梨執筆)