東京メトロの銀座線は、東京で最も古い地下鉄である。地下鉄の父、早川徳次が生涯、情熱を傾けて作り上げたものだ。早川は1914年にロンドンを視察した時、地下鉄の魅力に感動し、帰国後に東京で地下鉄を作ることを決意した。そして不況や資金難、関東大震災などの多くの困難を乗り越えて、1927年12月30日に浅草−上野間にアジア初の地下鉄を開業させた。2008年に浅草−新橋間の土木建築が土木学会によって選奨土木遺産に認定され、2009年には浅草−渋谷間、幻の新橋駅、地下鉄車両1000形などが経済産業省によって近代化産業遺産に認定された。今年の12月30日に銀座線は85回目の誕生日を迎える。銀座線の新型車両である1000系は、環境への負荷を低減するために永久磁石同期モータやLED照明を使用し、走行時の騒音を低減するために新型操舵台車などの各種新技術が採用されている。車体の色は、開業時から40年間愛用された旧1000形のレモンイエローを模しており、レトロな雰囲気にあふれている。
4月、銀座線の歴史と和光の時計塔を紹介するフォトギャラリートレインが走っている。和光の時計塔は、セイコー時計のシンボルとして1932年6月10日の記念日に、服部時計店(現セイコーホールディングス)の新しいビルと共に銀座四丁目交差点に誕生した。その後、高級専門店の和光が独立したためビルの名前が和光本館となり、時計塔は銀座のシンボルとなって、人々に愛されている。銀座と言えば、時計塔と銀座線が自然に人々の心に浮かぶほどで、歴史的価値がたいへん高い。フォトギャラリートレインは、これまでの銀座の歴史を振り返り、珍しく懐かしい写真と物語を紹介している。
このイベントは4月11日から30日まで行われる。媒体は車内ポスター、ステッカー、車内ビジョンである。11日から24日までは、銀座駅構内でも写真展が行われる。4月1日には和光本館内にセイコーミュージアムがリニューアルオープンしたが、フォトギャラリートレインでは、そこに展示されているセイコーの各時代のコレクションや銀座線の個性的な駅をめぐる物語についても紹介している。また、Seiko Lukiaは、セイコーが働く女性向けに発売したブランドで、そのLukiaのキャラクターである真っ赤なルキベアが、11日からセイコーのFacebookで新型車両について紹介している。銀座線に乗る機会がない方は、Facebookでこのイベントについての情報をのぞいて参加してみるのも楽しいかもしれない。(ff執筆)