江戸時代のさまざまな文化的背景は、現代の日本人の思想や習俗、あるいは芸術の発展に対して深い影響を与え続けている。江戸の街に根ざした文化の中に、「金魚を鑑賞して涼を取る」というものがある。今東京では、「江戸・金魚の涼」をテーマとした展覧会「アートアクアリウム展2012」が開催されている。光や音楽や映像によって金魚鑑賞の文化が現代的なものに生まれ変わった。約5000匹の金魚が展示され、中には「ピンポンパール」などの世界的に珍しい品種も含まれ、大盛況だった昨年からさらに一段と規模が拡大した。
展示場には大小70ほどの水槽がある。それぞれの水槽の形と鑑賞方法はさまざまで、これもまたアートアクアリウムの注目ポイントだ。例えばゆっくり流れる川をイメージした「華魚撩乱」や、イタリアのガラス工芸品「ベネチアングラス」の最高峰「VENINI」とコラボした「Kingyo」などによって、観客はアーティスティックでスタイリッシュな方法で金魚を鑑賞することができ、正に「魚を見るだけではない金魚鑑賞」というアートの祭典になっているのだ。
圧巻と言えるのは、「花魁」と名付けられた長さ1.5メートルの巨大な金魚鉢である。約1000匹の金魚がその中でひらひらと泳いでおり、さらに特別に用意されたライトアップで、観光客は金魚を下から眺めることができ、たいへん壮観な光景だ。以前は、こんなにたくさんの金魚を一つの水槽に入れておいたら、酸素欠乏などの問題が起こるので、実行が不可能だった。だが今回の展覧会のプロデューサーで、金魚鑑賞とアートを融合した第一人者、木村英智さんがこの問題を解決した。どのような方法によるのかは、本人しかわからない。この展覧会には他に、屏風のような水槽もある。普通の金魚は左右にのみ泳ぐが、ここの金魚は上下に泳いでおり、不思議な気分にさせられる。もちろんこの構造も、木村さんの非凡なアイデアによるものなのだ。
毎晩7時以降には、会場はナイトアクアリウムになり、艶やかな照明と軽快で楽しい音楽が加わって、また別の気分を味わうことができる。観客はここで日本酒や各種カクテルなどを楽しみながら、さらに色彩の入り乱れる金魚の世界を鑑賞することができるのだ。(Michelle執筆)
期間:8月17日〜9月24日 場所:東京都中央区日本橋室町2−2−1コレド室町5階日本橋三井ホール