日本女性と言えば、多くの人は、和服を着て男性の後から付いていく姿をイメージするだろう。そう、優しくて、謙虚で、伝統的な姿こそ、多くの映画やドラマで作りだされた日本女性のイメージなのである。だが「大和乙女画家」の撫子凛(なでしこ・りん)さんによれば、日本女性はか弱い外見の下に強靭な心を持っていると言う。彼女たちは毅然としていて、聡明で、豊かな精神性を備えているのである。
撫子凛さんは、日本文化を熱愛する女性画家である。1984年生まれで、これまでに「骨と音楽」「凛波展」「乙・闘・女−オトメ−」などの個展を開催してきた。彼女の作品は基本的に日本の少女が主人公であり、大和絵や浮世絵などの日本古典美術を解体して、現代のサブカルチャーやアニメなどと融合させて、日本文化を深く考えながら独自の現代的な画風を構築している。
撫子凛さんは小さい頃からたくさんの漫画やアニメに触れ、子どもの時は漫画家になりたかったが、高校時代には油絵を始め、卒業後は美術専門学校でグラフィックデザインを学んだ。80年代生まれの特徴として、子供の頃最も好きだったのは、当時国内外で大人気の「美少女戦士セーラームーン」だった。この作品が、その後の彼女の創作に大きな影響を与えている。彼女の描く人物はみな「可愛い・動かしやすい・わかりやすい」という特色を持っており、どの少女も聡明で強く、セクシーで美しい。これこそ正に撫子凛さん自身が考える理想的な女性なのである。「富嶽蛇遊戯図」という絵の中で、彼女は斬新な考え方で女子高生と巨大な怪獣を一緒に描き、富士山を背景とし、強いコントラストによって日本の少女の大胆さと冷静さを表現している。
なぜ日本の伝統的技法で現代のテーマを表現するのかということについて、撫子凛さんは、日本の芸術が好きなのは、自分が日本の心を持っているからだと言う。彼女の心の中では、日本の美術が世界でいちばんすばらしい。彼女は葛飾北斎、尾形光琳、狩野永徳、伊藤若冲などの日本の画家が好きで、絵だけでなく、和服や建築、工芸などにも興味を持っている。そしてそれらに現代的なテーマを加えるのは、より多くの共通点を作り出してこの時代に生きる多くの人々の目を惹きつけたいからだそうだ。日本は平和で平穏で、住むのにはいい国だが、不思議なことに日本国民の幸福度は非常に低い。撫子凛さんはこれについて、みんなが周囲のすばらしさに気づいていないからだと言う。そして彼女は、自分の描く絵によってもっと多くの人々に心からの幸福を感じてほしいと願っているのだ。(Michelle執筆)